電力自由化から間もなく1年。切り替えで得する人・損する人

家庭用小売電力の自由化から、間もなく1年が経とうとしています。

でも、うのこ竹の子の様に「電力小売事業者」が出てきてしまい、正直言って「何処が良いか判らない状態」になっています。

では、何処を選べば良いのかを、東京ガスを一例にして比較してみましょう。

電力自由化って?

簡単に言えば「今までの電力事業者から、他の事業者への電気が購入出来る」ということ。分かっているよ、という人は読み飛ばしても構いません。

今までだと、好き嫌い無しに「東京電力」からしか買えなかった電気を、他の事業者から電気を買うことが出来る制度です。しかし幾ら買いたくても、地域によっては選択肢が狭められます。

今回比較する「東京ガスの電気」も、首都圏(東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県・茨城県・栃木県・群馬県・山梨県・静岡県の富士川より東側で、商用電源周波数50Hz)以外の居住者は買えません。

東京ガスの電気

東京ガスの電気、名称は「すっともっと電気」と言い、既に東京ガスは平成28年12月20日時点で、東京ガスの予想を上回る60万件以上から契約を取り付けています。

種類は3つあり、

  1. すっともっと電気1(東京電力「従量電灯B」に相当)
  2. ずっともっと電気2(東京電力「従量電灯C」に相当)
  3. すっともっと電気3(東京電力「低圧電力」に相当)

となっています。一度、東京電力からの「電気使用量のお知らせ」を読んでみましょう。契約種別が書いてあります。

電気代比較

東京ガスでは「おおむね300kWh以上利用している利用者」とアナウンスしていますが、厳密に計算して言えば、下記の表となります。

月間電気使用量 東京ガス 東京電力
296kWh 6,911円 6,866.4円
297kWh 6,935.25円 6,944.4円
298kWh 6,958.7円 6,970.4円
300kWh 7,005.6円 7,022.4円

(東京電力「従量電灯B」と、東京ガス「ずっともっと電気」を、2017年1月時点での届け出価格を基に作成)

と損益分岐点上の計算となり、月間で297kWh以上使っていれば、間違いなく東京電力(東京電力エナジーパートナー)よりも安くなります(上記の表には、燃料調整費・再生可能エネルギー賦課金・口座振替割引は含まれていません。あしからず)

ずっともっと電気で得する人

こうなると、おのずと電気切り替え(スイッチング)で得する人が出てきます。

  1. 月間の電気使用量が、297kWh以上使う人(左記以外でも安くなる条件があり)
  2. 東京ガスのガス管が、家に引かれている人(この場合「ガス・電気セット割」を適用しないと、月間電気使用量が297kWh以下でも安くならない)
  3. 契約アンペア数が30A以上で、東京電力の月間電気使用量が、常に3段料金(300kWh)を超えて利用している人(東京電力で300kWhを超えて使うと「3段料金」の請求金額となり、1kWh当たり30.02円という高い金額になる)

となります。つまり、電気をたくさん使う人向けです。

切り替えで損する人

公平を期すためにも、デメリットも言わなきゃならないですね。

電気の切り替え(スイッチング)で、却って損する人もいるのです。そうゆう人は、

  1. 契約アンペア数が20A以下の人(東京ガスでは30A以上でないと受け付けない)
  2. 月間電気使用量が120kWhで済んでいる人(これは東京電力の「1段料金」の区分。1kWh当たり「19.52円」です。他の電力事業者にも無いダントツの安さです)
  3. 東京ガスとのセット割を使わない場合は、月間電気使用量が296kWh以下で済んじゃう人。

となります。具体的には、家に照明・冷蔵庫・電気炊飯器しかなく、家に余り居ない「寝に帰るのみ」の状態の1人暮らしの人ですね。

電気の請求書を見返そう!

基本的に、電気事業者の切り替えで『得する人』は「おおむね300kWh以上使う人」です。各社とも、その様な人達に対しての『お得メニュー』を用意しており、電気をあんまり使わない人にとっては、かえって金銭的に損する事ばかりです。

中には「これ以上東京電力に貢ぎたくない」という『信念を持った人』もいらっしゃるかも知れませんが、結局の所「送電線は否が応でも東京電力の送電線網」を使って、東京電力に電気の託送料金を払っています。

注意点など

また、余り知られていませんが「電気の検針計」は、東京電力ホールディングス傘下の「東京電力パワーグリット」の持ち物であり、各個人の持ち物ではないのです。

従って、旧来型の「円盤がグルグル回る電力検針計」を持っていても、いずれ「デジタル表示のスマートメーター」に全部取り替えられます。ただ、小売電力自由化の恩恵を与るには、通信機能付きの「スマートメーター」に取り替えないと、駄目なんです(因みに「電力検針計」は、電力切り替えの際に、東京電力パワーグリットが無料で取り替えてくれます)。

詐欺に注意!

無知を漬け込んだ悪徳商法で「電気の切り替えに手数料が掛かる」「検針計の交換に手数料が掛かる」の類は、全て詐欺ですから、特に親が高齢で離れて暮らしている場合などに、親孝行として注意喚起する気遣いなど、くれぐれもダマされない様に気を付けて下さい。

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