ブロガーやニュースメディアから「剽窃」して仕上げた『まとめサイト』が、岐路に立たされている。その根幹は、運営者のモラルの無さや、著作権侵害に繋がりかねない「コピー・アンド・ペースト」の横行だ。
キュレーションとは
キュレーションとは、元々「博物館や美術館の学芸員が、展示物を効果的に魅せること」です。博物館に所蔵されている文化財などを、来館者に分かりやすく効果的に魅せること。今回は詳細について割愛させて戴きます。
しかし、儲けるのが上手い人というのは、何時の世にもいらっしゃって、インターネットの世界でも例外ではありません。
ウェブサイトの「キュレーション」
ウェブサイトの情報発信が、徐々に既存メディアを上回る事例が増えると、その内容がてんでバラバラに発信されてしまい、しまいには「情報の海」に埋もれてしまう事態が発生します。しかも、オリジナルコンテンツの発信に努力している人々には、苦労の割にはページビュー(PV)が落ちるのです。
そこで考えた人達は「まとめサイト」を構築し、短時間で効率良く内容を解説するウェブサイトを考案します。色々考案されましたが、最たる例がMetaWikiで構築されたサイトです。
初期のまとめサイトは、2ちゃんねるに集っていた人々が、スレッドの内容を読みやすくする為に構築されたもので、完全なボランティアでした。まぁ、本題ではないので、機会が有ったら詳しく書こうかと。
キュレーションサイトの問題点
Google Adsense は、ウェブサイト運営者に多少の収入をもたらしますが、PVが伸びなければ、9割方そんなに実入りの良いものではないのです。
が、まとめサイトは違います。ページビューが集まれば、塵も積もれば山となる、の喩え通りに「お金が空から降ってくる」状態です。しかも、大半の商用まとめサイトは、誰かの苦労して書いたウェブサイトを剽窃・盗用し、あたかも著作権法の「引用」に見せかけているからです。
著作権法は、著作者の権利保護と保護期間、そして公の場に使えるルールを定めていて、1990年代には「プロの御作法」の基本中の基本でした。であるが上に、今のインターネット時代にそぐわない部分もあります。
しかも「プロバイダ責任制限法(正式名称は「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律」という長ーい名称です」を盾に、ライターや写真家が泣寝入りするケースも出てきました。
オリジナルのウェブコンテンツを一生懸命作っている人にしてみれば、キュレーションサイトに記事を無断転載され盗用されるわ、PVも落ちて収益も落ちるわと、キュレーションサイト対する鬱屈が溜まり、もはや臨界点に達しているのです。
これまで「2ちゃんねるまとめサイト」に批難が集まりましたが、それをIT大手の「DeNA」がしでかしたのですから、炎上して当たり前、しかもGoogleの検索ワードを勘案した「検索エンジン最適化(SEO)」を露骨に意識したウェブページの構成だったからです。
キュレーションサイトは「何なのか?」
よく考えてみましょう。キュレーションサイトは「メディア」なのでしょうか?「まとめサイト」なのでしょうか?それとも「著作権侵害サイト」なのでしょうか?それとも、単なる「情報の提供」に過ぎないのでしょうか?
TwitterやInstagramやYouTubeなどは、ウェブページにソースコードを埋め込む事で、規約上問題は有りません。むしろ欧米のメディアでは、積極的にやっているサイトもあります。
この点が、日本の場合は余りにも「曖昧過ぎる」のです。
確かに、上手に見せることで、物事の理解が出来たり、むしろ理解が深まれば、それは一見良いことでしょう。でも飲食店に置き換えて考えれば「味やサービスはそこそこ、でも2割か3割の確率で『食中毒』になる」となれば、誰もその店には行かないでしょう。今のキュレーションサイトは、そんな『毒まんじゅう』が入った状態です。
著作者に思いを馳せよう
僕自身もウェブサイトを運営していますが、正直言って儲かっていません。そう言う意味では「商売下手くそ」なサイトです。
しかし、キュレーションサイトと違うのは、たとえ「チラシの裏」と揶揄されても、自分の考えを自分なりに披露していることです。沢山の書籍や有益なウェブサイトの知識に感銘し、時には場所に赴いて調べたりします。調査費用だって馬鹿になりません。
それなのに、美味しいところだけ盗用されたら、「堪ったもんじゃない」のです。血と汗と涙の結晶が、ズケズケと土足で踏み込まれ盗まれたら、誰だって怒るでしょう。
はっきり言えば、作品は『我が子同然』なのです。本当は写真だって、修正なしに素でアップロード・掲載したい。しかし、今の無断転載が横行している状態ならば、残念ながら写真にコピーライト(Copyright)表示対策、直リンク禁止のPHPコードを記述せざるを得ないところまで、制作者は追い込まれているのです。
最後に一言
著作権侵害を平気でしでかす「盗人キュレーションサイト」よ、地獄へ堕ちろ!